第 10 章 情報セキュリティ
盗聴・改ざん・なりすましを防ぐ。この章では次の 21 個の知識点を、解説・インタラクティブ教材・練習問題で学びます。
情報セキュリティリスク
資産を守るには「弱点」「危険の原因」「被害」を分けて考える。脆弱性を脅威が利用すると、情報漏えいやサービス停止のリスクが生じる。
不正のトライアングル
不正のトライアングルは、不正が生じる背景を「機会・動機・正当化」の 3 要素から分析する考え方である。要素を減らす管理策を選ぼう。
ISMS と情報セキュリティの特性
ISMSは、組織がリスクに応じて情報セキュリティを継続的に管理・改善する仕組み。適合性の認証基準は JIS Q 27001、用語は JIS Q 27000 で扱う。中心は機密性・完全性・可用性(CIA)である。
マルウェアとボットネット
マルウェアは悪意のあるソフトウェアの総称。感染の仕方、目的、隠蔽、指令の仕組みという別の観点で分類されるため、一つのプログラムが複数の特徴をもつこともある。
マルウェアの検知方法
既知の特徴と照合する方法と、実行時の挙動を監視する方法を区別する。検知後の隔離に加え、定義ファイルの更新や脆弱性の修正も必要である。
パスワードクラック
ログイン試行で ID とパスワードのどちらを固定するか、流出した組を使うかを読み取る。保存済みハッシュを狙う攻撃は、オンラインのログイン試行と区別する。
Web の脆弱性を狙う攻撃
入力値が「データ」として扱われず「命令」と解釈されると、インジェクションが起こる。実行先がブラウザ、データベース、OS のどれかを見分ける。
なりすましと誘導の攻撃
「名前解決」「メールや偽サイト」「セッション ID」「検索順位」「送信元 IP」のどこが悪用されたかを追う。見た目が正規でも、接続先や送信元を確認する。
PC・サーバへの攻撃
攻撃は、メモリの不正操作、閲覧時の感染、サービス妨害など目的と仕組みが異なる。単に「データを大量に送る」という共通点だけで判断しない。
通信の三つの危険と対策
通信中の盗聴は機密性、改ざんは完全性、なりすましは真正性を損なう。どの特性を守る技術かを先に考える。
共通鍵・公開鍵暗号と鍵の数
共通鍵暗号方式は同じ鍵で暗号化・復号する。公開鍵暗号方式では受信者の公開鍵で暗号化し、受信者の秘密鍵で復号する。鍵を誰が持ち、何本数えるかを確認する。
ハッシュ関数と改ざん検知
ハッシュ関数は任意長の入力を一定長の値へ変換する。SHA-256 の出力は 256 ビット。同じ入力には同じ値を返し、元の入力や衝突を見つけることが困難な関数を使う。
ディジタル署名と暗号化の組合せ
ディジタル署名は送信者の秘密鍵で生成し、対応する送信者の公開鍵で検証する。改ざん検知と作成者の確認に役立つ。本文を秘密にしたいときは、暗号化を別に組み合わせる。
認証局・証明書・PKI
署名を検証するには、その公開鍵が本当に相手のものかを知る必要がある。認証局(CA)が公開鍵と主体の対応を証明するディジタル証明書を発行する。
ファイアウォールとパケットフィルタリング
ファイアウォールは境界で通信を制御する。パケットフィルタリングでは送信元・宛先の IP、ポート番号、プロトコルなどを見る。ルールの優先順位と不一致時の動作を確認する。
プロキシ・DMZ・WAF
公開サーバと重要データを同じ場所に無制限で置かない。DMZと内部を分離し、必要な通信だけ許可する。HTTP の内容に対する攻撃にはWAFを用いる。
利用者認証とパスワードの組合せ数
認証要素は知識(パスワード)、所持(端末・トークン)、生体(指紋など)。異なる種類を組み合わせるのが多要素認証。パスワードの候補数は、文字種と長さから求める。
VPN・TLS・セキュリティテスト
通信を守る技術と弱点を探す試験を区別する。VPN は論理的な専用ネットワーク、TLS は通信の暗号化・改ざん検知・認証を提供する。検査は許可された範囲で行う。
HTTPS・IPsec・SSH
保護対象が Web 通信、IP パケット、遠隔ログインのどれかを読む。暗号化だけでなく、認証と完全性を含む保護も重要である。
科目B セキュリティ事例の読み方
長文は「設問 → 資産と構成 → 変更点 → 攻撃・被害 → 必要な対策」の順で整理する。問われる目的に直接対応する選択肢を、本文の根拠から選ぶ。
事例で使う管理策と復旧運用
科目B の事例問題は「本文に書かれた状況のサイン」から「それに直接効く対策」を選ぶ問題。よく出るのは 8 つ:最小権限の原則と FW ルールの見直し、暫定対策の WAF、パスワードリスト攻撃への多要素認証、類似ドメインを使ったビジネスメール詐欺、BYOD・テレワークのリスク、バックアップ運用(RPO・RTO)、ISMS と CISO の役割。